【プロセスと素材の違いが作品に及ぼす影響】
世界中のほとんどの自動車メーカーでは、
1/1スケールモデルを作るとき、
クレイと呼ばれる工業用粘土でモデリングするのに対し、
イタリアでは、エポウッド(木材と同様に切削できる合成樹脂)
を使います。
エポウッドで作成すれば固い素材なので、
ハードモデルの代用ににもなりコストダウンが図れます。
しかし、加工に手間がかかります。
加工は削るのみで、彫塑(ちょうそ)ではなく彫刻なんです。
彼らは大げさにいえば、ルネサンスの頃から
大理石を削って彫刻を作っていたわけですから、
塊から削る一方でものを造る技術があります。
加えて副産物として、一度失敗したら盛れないという
意識が、ものに対する緊張感として現れます。
プロセスや素材があってそれをコントロールすること、
そのことが面の張りや緊張感につながっていること
このことに気がついたときには
自分自身が大きく感動しました。
名古屋芸大グループ通信より